仲里司(なかざと・つかさ)さん

 JR京浜東北線の根岸駅前(神奈川県横浜市磯子区)で 待ち合わせた。改札の前に、人懐っこい笑顔の 仲里さんがいた。

 日経ビジネス工学院を卒業し、就職で本土に渡った。 横浜市内で、コンピュータの動きを監視する仕事をしている。 3交代制で、徹夜になる日がある。少しずつだが慣れてきた。

 2月22日から横浜市内のアパートで生活を始めている。 この日に沖縄に帰りたいと思った。 何もないがらんとした部屋に入って、 「本当にオレは一人で来たんだ」とあらためて思った 時のことだ。

 確かに家具ひとつない部屋は寒々しいものだ。 仲里さんは持ち前の明るさで気持ちを立て直す。 100円ショップに行き、ハンガーや洗濯バサミ、 石鹸、筆記具、なべ、コップなどなどの生活必需品を 1万円分ほど買い込み、部屋を充実させていった。

 実は、2月22日に仲里さんを励ましたものがある。 専門学校時代に出会った彼女からのプレゼントである。 かばんの中から出てきたものは、 かつてのクラスの友人たちとの写真だった。 そして「頑張ってね」という彼女の手紙を見た瞬間、 涙があふれ出た。

 生活面も少しずつ落ち着いてきた。 「横浜駅を歩いていたら、人にどんどん抜かれて、 70歳くらいの人にまで抜かれた時にはびっくりしました。 みんな歩くのが早いです」「沖縄ののんびりした点は 長所でもあり短所でもありますね」などなど、 本土で受ける“文化の差”を楽しんでいる。

 「破顔一笑」という言葉がぴったりの仲里さんなら、 本土でも大勢の友人を作っていける。私が本土に“出張”する時は、 また会おうね。(沖縄王・西野浩史)

会社員 1980年生まれ。嘉手納町出身。横浜市磯子区在住





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