吉元由紀子（よしもと・ゆきこ）さん 　内地で久しぶりに会った彼女は、都会的な女の子になっているように見えた。 中学時代、毎日の部活前に砂浜を3キロ走っていたとは思えない。 大学の友達は彼女のことをおとなしい子だと思っているようだ。 内地の友達をあんまりだましてはいけないよ〜。 　高校時代、私は彼女と寮で一緒に暮らした。 勉強よりも友達の部屋を訪ねることに 精を出していた。そんなある日、友達の部屋にいるとき運悪く先生が見回りに来た。 とっさに隠れたのはいいが、窓ガラスにその姿がしっかり写っていた というやんちゃな失敗談の持ち主だ。 　そんな彼女を大きく成長させる出来事があった。 1ヵ月間の海外留学である。大学2年の8月を英国のケンブリッジ大 ペンブルックカレッジで過ごした。 　「忘れられない出来事がある」と彼女は話し始めた。 夜、友達とナイトクラブに出かけた時のことだ。 身分証明書を持ち合わせていなかったため 18歳未満だと見られ、自分だけ店に入ることができなかった。 これに対して、友人トムの彼女イージーは何とか中へ入れるよう 必死になって抗議してくれた。 　結局その場は中に入ることはできなかった。帰り道で イージーは「心配しないで」と優しく語りかけてくれた。 この子は本気で自分のことを思ってくれていると分かった。 英語が「ただの言葉」から「大切な人に大事な気持ちを伝える手段」に変わった瞬間だった。 この経験は、人間として友人としての心遣いを学ばせてくれた。 　「将来は教員になりたい」。この先、もっともっといろんなことを学んで、 成長していくに違いない。（沖縄王・中本真紀子） 日本大理工学部数学科4年 名護市出身。東京都在住。22歳

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